衝撃!実話をもとにしたおすすめ映画5選【ネタバレあり】
事実は小説より奇なり、という言葉がありますが、世の中には衝撃的な事件、ウソのような奇跡的な話がたくさんありますよね。
いずれも、作り物のストーリーには到底及ばない迫力、結末を持ち合わせ、映画化するのも難しいものが多いですね。
今回は、邦画、洋画を問わず、実際にあった事件や出来事をもとにした映画をご紹介します。
ネタバレも含みますので、未見の方はご注意くださいね。
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目次
凶悪 監督/白石和彌
(2013年 日本 出演/山田孝之 リリー・フランキー ピエール瀧)
【元ネタとなった事件】 上申書殺人事件、日立ウォッカ事件、ほか
(出典元:U-NEXT)
あらすじ
新潮45編集部が、死刑判決を受け上告中の殺人犯から「他の殺人」についての告白を受け、取材に取材を重ねた結果、首謀者が逮捕されるという前代未聞の事件の映画化です。
新潮45誌上でも連載されたこの上申書殺人事件は、暴力団同士の抗争ではなく、一般の人たちが保険金目当てで殺害を依頼するといったことも暴かれますが、告白された3つの殺人のうち、立件できたのは日立市で起きた自営業者殺害事件のみという結果に終わります。
映画では、編集者の藤井(山田孝之)のもとに死刑囚・須藤(ピエール瀧)から手紙が届くところから始まります。
その手紙には、自身が関わった表に出ていない3つの殺人と、それの首謀者である「先生」(リリー・フランキー)と呼ばれる男の存在が書かれていましたが、にわかに信じがたい内容となっていました。
取材をすすめるうち、もしかしてもしかするのではという状況に発展していき…
【出会ってはいけない人同士が出会うと、悲劇しか起きない】
(出典元:Amazon)
リリー・フランキーの正しい使い方はこれだ、と、世間に知らしめた映画。これにつきます。
のほほんとした枯れ系おじさん、という印象の強かったリリーさんですが、この映画では黒幕「先生」を演じています。ヤクザ役のピエール瀧はもともとガタイも良く、強面でもありますから違和感ありませんが、リリーさんにはたしてヤクザをも食い物にする悪人が演じられるのかな?と思った人もいたのではないでしょうか。
実際に立件された「日立ウォッカ事件」の再現シーンは、正直目を背けたくなりました。命乞いをする老人に、笑いながら、いえ、笑い転げながらスタンガンをあてるリリーさん。もはや狂気そのものです。
私利私欲のために、何の恨みもない人を殺せる人がいる、そして、実行犯は死刑で、首謀者黒幕は無期懲役という結果も、考えさせられるものがあります。
かなりショッキングなシーンが続きますので、その点はご注意ください。
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冷たい熱帯魚 監督/園子温
(2010年 日本 出演/吹越満 でんでん 黒沢あすか 他)
【元ネタとなった事件】埼玉愛犬家連続殺人事件
(出典元:U-NEXT)
あらすじ
小心者で家族とうまくいっていないうだつの上がらない社本(吹越満)は、小さな熱帯魚店を営んでいました。娘の非行がわかって困り果てているところへ、大型熱帯魚店を経営している村田(でんでん)という男に救われます。
その日以降、なにかと社本の家族に目をかけてくれるようになった村田に、社本自身も交流を持ち始めるようになります。
ある日、大きな取引を持ちかけられた社本は、それが地獄への片道切符とも知らず、飲み込まれていくのです。
【愛?希望?そんなものはねぇよ、自分で何とかしろ】
(出典元:Twitter)
この映画のモデルになったのは、1993年ころに起きた埼玉愛犬家連続殺人事件です。
当時日本にはいなかったアラスカン・マラミュートのブリーダーとして有名だった男が、犬の売買トラブルから客たちを殺し、バラバラにして焼却して捨てたという事件で、男とその妻には死刑が下っています(男は獄中で病死、妻は再審請求中)。
実は、私自身アラスカン・マラミュートを飼っていることもあり、そのつながりでこの事件はよく知っています。
映画では、実際の事件で男がよく口にしていた「ボディを透明にする」「俺には全部わかっている」そういった言葉も使用され、また男を演じたでんでんさんの演技力(見た目もそっくりなんです、実は)のすさまじさが際立っており、まるで自分が恫喝されているかのような錯覚に陥ります。
以降、ネタバレになりますが、2時間を超える作品の中で、もうどうしていいのかわからなくなるほどの暴力、凄惨なシーン、洗脳ってこうやってなされていくんだな、とぼんやりと洗脳されていく感覚など、何が言いたい映画なのかわからない、と思う方もいるかもしれません。
その答えとしては、このうだつの上がらない男、社本の変貌にあります。理想に固執し、他者に救いを求めたり、愛や希望にすがることの愚かさ、無意味さ、というか、最後は自分でしょ?自分しかいないんだよ、というメッセージが込められているのです。
見終わった時の疲労感は半端ないですので、体力のある時にしっかり見てくださいね。
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チェンジリング 監督/クリント・イーストウッド
(アメリカ 2008年 主演/アンジェリーナ・ジョリー)
【元ネタとなった事件】ゴードン・ノースコット事件
(出典元:dTV)
あらすじ
1928年のアメリカ。電話会社で働くシングルマザー、クリスティンの一人息子が行方をくらまします。
捜査の結果、5か月後に息子が戻ってくるのですが、なんとその息子はどう見ても別人。しかも、それを周囲に訴えても、警察はなぜか息子だと言い張ります。
納得できないクリスティンは、あらゆる手を使って息子でないことを証明しようと試みますが、精神異常者であるとして病院に強制入院させられてしまい・・・
犯罪被害者が警察という組織に立ち向かう姿、そして、息子が消えたその理由は・・・?
【負けない、あなたを取り返すまで】
アンジェリーナ・ジョリーが、息子を取り戻すために戦う母親を演じるこの映画。
1920年代後半にアメリカで起きた連続少年誘拐事件がもとになっています。裁判では3人の殺害のみですが、ゴードン本人によれば20数人を殺害したとしており、映画に登場するクリスティンの息子もその中に含まれているとみられます。
しかし、行方不明の息子が見つかったと聞かされ、その息子が行方不明になる前より背が低いとか、顔が違うとか、それなのに周囲がそれを疑わないといったことに直面したら、自分がおかしくなったのではと思い込んでしまうかもしれませんよね。
(出典元:Yahoomovie)
主人公クリスティンの心中を察すると、居ても立っても居られないような恐怖感に襲われます。
ネタバレになりますが、このクリスティンの息子の消息は結局わかることはありませんでした。ゴードン本人が殺害を認めているものの、遺体や骨が見つかっていないことから、クリスティン本人は死んだことを受け入れられないでいたようです(当然ですよね…)。
子供の誘拐事件と、警察の腐敗しきった体質と、二つの事件が暴かれることになったわけですが、アンジェリーナ・ジョリーはやはり「強い女性」を演じるのがお好きなようですね。
パキスタンで殺害されたジャーナリスト、ダニエル・パール氏の妻を演じた「マイティ・ハート」も、その名の通り「邪悪なものに決して屈しない」というメッセージ性の強い作品でした。
<マイティ・ハート 愛と絆 予告動画>
いずれも決してハッピーエンドではありませんが、極限の状態でも決してあきらめず、屈しない気持ちは、痛々しくもあり、神々しくも思えます。
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誰も知らない 監督/是枝裕和
(2004年 日本 主演/柳楽優弥 YOU 他)
【元ネタとなった事件】巣鴨子供置き去り事件
(出典元:誰も知らない製作員会)
あらすじ
とあるマンションに引っ越してきた母親とその子供たち。父親は長期出張で、母親が子供たちの面倒を見ている、なんてことのない家庭に見えます。
しかし、母親は近隣住民や大家に対し、子供は男の子一人と話していましたが、実はそれ以外に3人の子供、計4人の子供がいたのでした。
子供が多いと部屋借りにくい経験から、母親が考えた嘘でした。そのため、長男・明(柳楽優弥)以外は自由に外出できず、家にいても静かにしていなければなりませんでした。しかも、その長男・明でさえ、学校に通ったことも、出生届も出ていなかったのです。
母親はやがて帰りが遅くなり、そして次第に家に寄り付かなくなります。それでも、子供なりに知恵を振り絞り、それなりに楽しく生活を送りますが、生活費が底をついた後、子どもたちだけの生活は破たんへの道を転がり始め・・・
【映像化の限界。生きているのは、おとなだけですか】
(出典元:誰も知らない 製作委員会)
是枝監督の作品は、非常に繊細で美しく評価の高いものばかりですが、この作品に関しては「きれいすぎてもはや別物」といった印象です。
以下ネタバレありです。
実際に起こった巣鴨の事件はこんな生易しいものではなく、結末となる末っ子の死も、映画では不可抗力的な、事故であるような演出でしたが、本当は長男とその友達による虐待が要因です。
もちろん、あくまでも参考にした作品、という位置づけで観ればよいわけですが、現実とのギャップにショックを受ける方もいたようです。
子どもたちはけなげで、母親が家に帰らなくなってからも仲良くしっかり生きようとします。でも、お金がなければ電気も水道も使えない、見ている私たち大人はこの笑顔の日々のすぐ後に地獄が待っていることが容易に想像できるため、その穏やかで平和にさえ見える日々はかえってキツイ。
1人奮闘する明は、コンビニの店員に助けられながらなんとかやってはいくものの、イライラは募ります。
(出典元:誰も知らない製作委員会)
ちなみに、このとんでもない母親役はYOUさんですが、「いかにも育児放棄しそうなキャラ」であるという監督の偏見でオファーがあったとか。
たしかに、というと失礼ですが、年齢よりも若く見え、舌っ足らずなしゃべり方が幼稚さを演出し、いかにもな母親を演じていると感じました。
映画は事件が発覚する前に終わりますが、実際には報道で知った当の母親がのんきに「これは私のこと?」と名乗り出ています。YOUさんが演じているからそう見えませんが、この母親は紛れもなくモンスターです。
事実に忠実に、とはいきませんでしたが、胸に迫る作品であることには間違いありません。主題歌、タテタカコさんの「宝石」も素晴らしいです。
過去にはdTVでも配信がありましたが、2017年12月現在、U-NEXTとTSUTAYA TVでのPPV配信となっています。
黒い家 原作/貴志祐介 監督/森田芳光
(1999年 日本 出演/大竹しのぶ 西村雅彦 内野聖陽 )
最後に、原作が発表された後に酷似した事件が起こった(模倣ではありません)という作品をご紹介します。
番外編!原作が事件よりも先!?な奇妙な映画
(出典元:U-NEXT)
大手生命保険会社に勤務している若槻(内野聖陽)は、顧客の一人が何度もケガによる治療費、入院費などの請求を行っていることに疑念を抱き、調査を始めます。
その顧客は、菰田(西村雅彦)といい、若槻が自宅へ呼ばれて訪問すると、なんと息子が自殺しているのを発見する羽目に・・・
恐れおののいた若槻は、菰田が家族に保険金をかけて殺すのでは、と勘繰り、妻である幸子(大竹しのぶ)に注意するよう手紙を送ってしまいます。
しかし、幸子の言動や身の回りに起こる数々の不可解な出来事から、若槻は幸子が首謀者ではないのかと思いはじめます。
【この人間には心がない、サイコパス・幸子と和歌山の事件】
この映画の原作は、貴志祐介さんの同名小説です。発表されたのが1997年、映画化は1999年なのですが、実は1998年の夏、和歌山のある街で夏祭りに振舞われたカレーにヒ素が入れられ、複数が死傷する事件が起きました。
その事件の裏では、保険外交員であった女性とその夫が、保険金詐欺に手を染めていたことが報じられました。
死なない程度にけがをしたり、障碍者手帳がもらえる程度に体を痛めつけるといった手法は、お金に困窮した人の間で実際に行われており、底に焦点を当てたこの小説は、翌年に起こった事件の先を行く話であったと話題になりました。
(出典元:U-NEXT)
しかしなにより、観る者を恐怖のどん底に叩き落したのは女優、大竹しのぶ演じる幸子でした。
焦点の合わない、どこを見ているかわからない目でつぶやくように話し、若槻に付きまとうようになります。
ネタバレになりますが、この幸子はサイコパスであり、他人の痛みや心に共感することがまったくできません。すべては損得、利用できるものだけをそばに置き、利用価値がなくなったもの、邪魔するものは次々と始末していきます。
そのためには、血を分けた子供であろうと、関係ないのです。その徹底的な異常性は演技とわかっていても、目を覆わずにはいられないほどの迫力で、対峙する若槻のビビりっぷりもハンパないため(笑)、今なお語り継がれる映画となっています。
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事件をもとにした作品が多いですが、闘病、それにまつわる恋愛などをもとにした作品も多くあります。
榮倉奈々さん主演の「余命一ヶ月の花嫁」は有名ですよね。
最近では、難病により長いこん睡状態に陥ったのち、結婚式を挙げたカップルの実話が「8年越しの花嫁 奇跡の実話」として、佐藤健さん、土屋太鳳さん主演で映画化されました。
今回取り上げた作品は、重いものが多かったのですが、たいへん評価の高いものばかりでおすすめです。是非ご覧になってくださいね。
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