【動画配信】ネタバレあり!昼顔~平日午後3時の恋人たち~あらすじ・感想
2014年にフジテレビの木曜劇場枠で放送され、大反響の後、映画化されたドラマ「昼顔~平日午後3時の妻たち~」。
(出典元:FOD)
平凡な主婦が、些細なきっかけから身を焦がすほどの熱い思いに突き動かされ、思わぬ運命をたどるこのドラマは、不倫という反感を持たれそうなコンセプトであったにもかかわらず、大変な人気となり、その後2017年には続編という形の映画が公開されました。
なぜこのドラマが人気を博したのか、その魅力と見どころについて詳しくまとめました。
目次
昼顔のドラマ誕生のきっかけ
このドラマは、その名の通り、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の名作映画「昼顔」から来ています。
この映画は、貞淑な医師の妻が自分のマゾヒスティックな性的嗜好から日々空想にふけり、たまたま聞いた上流階級婦人たちの売春宿で自らも「昼顔」と名乗って娼婦として働くという、なんとも衝撃的な内容です。
そこから、一見娼婦や売春、不倫などとは縁遠いように見えるけれど、秘密を抱えて生きる女性(主に既婚女性)のことを「平日昼顔妻」と揶揄したのが、同じフジテレビ系列の情報番組「ノンストップ!」でした。
「ノンストップ!」では、単に夫のいない平日の昼下がりに不倫を楽しむ主婦のことを指しており、職業として風俗店などに在籍したりする女性は含まれません。あくまで、夫のある身でありながら、ほかの特定の男性と関係を持ってしまった既婚女性を指しています。
キャストとあらすじ
(出典元:フジテレビ)
会社員の夫と平凡に暮らしていた紗和(上戸彩)は、普段パートとしてスーパーで働いていましたが、ある時車の放火事件で高校教師・北野(斎藤工)と知り合います。
子供もおらず、口うるさい姑(高畑淳子)の存在を鬱陶しく感じつつも、それなりにこんなものかと折り合いをつけて生活していた紗和でしたが、ひょんなことで知り合った利佳子(吉瀬美智子)の存在が紗和の生活を少しずつ変えていきます。
(出典元:フジテレビ)
利佳子は何不自由なく暮らす優雅な人妻でしたが、実は遊びで不倫を楽しんでいました。若い恋人や売れない画家・加藤(北村一輝)と逢瀬を重ね、その際にはアリバイ工作に紗和を利用したり。
一方、紗和も、偶然知り合った北野でしたがその後なんとなく惹かれ始めます。利佳子のけしかけもあって、北野と少しずつ距離を縮めていくのですが…
<予告>
誰もが踏み外す可能性あり!?だからハマる不倫ドラマ
(出典元:(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社)
好き嫌いは別にしても、不倫がテーマの作品は「面白い」ですよね。
これは、多くの人が心の中に潜在的な「願望」を秘めているからに他ならないと思っています。
でも、実際にはやらないし、むしろ願望はあるけどやらないよ、という人ほど、不倫に走る人を軽蔑しています。「自分が理性で抑えていることをやっている人」への苛立ちや嫉妬もあるのでしょうね。
自分はしない、出来ないことだけれど、もしも自分の身にこんなことが起きたら…大変だとわかっている、でも、家庭をも壊すほどの愛情ってどんなものなんだろう…?
理性も取り払って、ただひたすら人を愛する、そこだけを考えた時、嫌悪感が羨望に変わっていることに気づく人も少なくないでしょう。
不倫がテーマの作品がうけるのは、身近だけど、自分には大変過ぎて出来ない「アナザーストーリー」をこれでもかと詰め込んで、その世界のキャストが自分の代わりにそれを体験してくれる、そこにあるのではないでしょうか。
なぜ「昼顔」はこんなにも受け入れられたのか?
(出典元:(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社)
過去においても、主婦が不倫にハマるドラマというのは「金曜日の妻たちへ」を皮切りに、たくさん製作されていました。しかし、「金妻」以外は視聴率はある程度伸びても、「昼顔」ほど反響があったかというとそうでもないですよね。
主婦の不倫といえば「団地妻」シリーズが思い浮かぶ私はケガれているのかもしれませんが、本来、ロマンポルノが取り扱うテーマのはずでした。
それを、「恋愛」に昇格させたのは、もしかしたら「昼顔」が初かもしれません。
主婦層も含む女性にも反感を生まなかった理由としては、いくつか要因があります。
①子供のいない主人公・紗和と、子どもを捨てきれなかった利佳子
人として一番嫌悪を感じるのは、子どもを犠牲にしたり棄てたりして自己の愛欲に走る母親の姿でしょう。
不倫物で一番気をつけなければならないのはここです。もちろん、胸糞映画としてならありですが、視聴率やスポンサーの立場を考えると、「昼顔」はそこをうまくクリアしていたといえます。
もともと子供がいないという設定でしたし、もう一人の主婦(利佳子)も、結果として子供を捨てることはせず、母親であることを取ります。まぁ、許容範囲ということだったのではないでしょうか。
②お金を払う側だった利佳子の存在
(出典元:フジテレビ)
主婦が不倫をする場合、お金の存在が一定数あります。もともとそういう交渉の元での場合もありますし、お互いが罪悪感や自分への言い訳に、あえてお金を介在させる場合もあります。
利佳子の場合は後者であると言えますが、もらう側ではなく、払う側だったというのも斬新ですよね。
こうすると、女性主導、女性優位の構図が出来るため、見ている女性が嫌悪感を感じ難いという効果があると言えます。おかしなもので、同じ不倫でも立場的に女性が優位だとあんまり叩かれませんからね。
③不倫の代償がきっちり描かれた
これも重要な点で、お互いの気持ちは別としても、その代償はしっかりきっちり描かれたのも良かったですね。
不倫ドラマは、だいたい結末としてバレずに終わる、バレても寛大な配偶者の存在で日常に戻れる、お互い一人になってまた出会いましたミラクル!みたいなものが多いわけですが、いずれもその「代償」については描かれることは少ないです。
ここが非常にモヤモヤを生むわけです。とどのつまり、不倫でしょ?と。
しかし、「昼顔」ではその部分もしっかり描いてあります。紗和と北野は北野の妻・乃里子(伊藤歩)に何から何までバレてしまい、弁護士や双方の義理親まで登場して「連絡を絶つこと、双方は現在の職場を退職、紗和と北野夫妻は転居(北野は妻の地元)」という現実的かつ、心が残っている二人には厳しい条件が課せられます。
(出典元:(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社)
さらに、約束を違えたら「死ぬまで妻に対して毎月30万円支払い続けること」というペナルティまで。
このあたりも現実味があって面白かったです。北野夫妻は離婚していないため、一撃の慰謝料はあまり意味がありませんから、精神的な罰を与えるということだったのでしょうね。
心の中までは裁けないけれど、一応けじめはとった、という形を作ったことで、納得というか「ヤリ得」はないよ、と示せたのではないでしょうか。こうすることで「された側」もやられっぱなしではないので、バランスが取れたのではないかと思います。
このように、いくつかのうまい設定が主婦層や既婚者層にもある程度受け入れられた要因ではないかと考察します。不倫はやっぱり代償を伴うよ、純愛ではないんだよ、と釘さしの意味もあったと思われます。
映画「昼顔」その結末とは!?ネタバレあり!
(出典元:U-NEXT)
ドラマが終了して3年後、同じ時間軸の設定で公開された映画「昼顔」。
紗和は離婚し、縁もゆかりもないある海辺の街で一人暮らしています。小さなレストランで働きながら、アパートと往復する日々。北野との熱い日々も、もう記憶の彼方で揺らめいているようになっていました。
一方、北野は妻との生活を続け、大学に勤めながら蛍の研究をしています。妻の乃里子は、平静を装いつつも、ヒステリックな一面が頻繁に顔をのぞかせるようになっています。
再び交わることなどないはずの紗和と北野でしたが、なんとまた再開してしまうのです。
<映画予告>
以下、ネタバレです。
偶然ではない再会、なんとなくイヤらしい紗和
(出典元:(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社)
ふたりが再会するきっかけですが、偶然ではありません。たまたま講演会で北野が来ることを知った紗和が「遠くから見るだけ」と言い訳をかまして講演会会場に行くわけです。北野は全く知りません。
それだけだったら、切ない思い出として良かったわけですが、そこでとどまれる人ならそもそも不倫して離婚まで行きませんよね。
紗和はとうとう、北野に自分の存在を知らせてしまい「一切しゃべりもせず、触りもしない」ということを免罪符に、週に一度のホタル採取で会うようになるのです。
うーん、なんだろうこの嫌な感じ(笑)。そういえば、ドラマ版でも最初にキスしようとしたのは紗和の方でしたね。
約束破ってるじゃん!月30万払ってないじゃん!と、この辺りからどうも紗和の行動に共感できなくなります。
心の中はどうあれ、北野は妻と生活をやり直すため、心機一転頑張っていたはずです。それを、自分の欲求を抑えることなく、自分の存在をアピールする紗和という女性は、強かだなぁと思うと同時に、その自信はどこから来るんだろうとも思うのです。
ここでも感度良好!恐るべし妻の第六感!
(出典元:(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社)
3年経っても癒されない傷を負った妻・乃里子ですが、北野が紗和と再会した直後から夫の変化に気づいています。
私にも経験はありますが、舐めてはいけない妻の勘(笑)。会うのは最後と決めた二人が一緒のバスに乗っているところへ、その日に限って迎えに来た妻がクラクションを響かせ続けます・・・痛い・・・・苦し過ぎて痛いです。
ふたりに詰め寄る乃里子ですが、そこでも紗和に一本取られます。いたたまれなくなって飛び出した紗和を、夫は追いかけたのですから。妻である自分を置いてけぼりにして。
紗和がこれを想定していたとまでは言いませんが、紗和はこの出来事以降、開き直りとも言える行動に出ます。
紗和の開き直りと妻の計算、なんにも考えてない夫
(出典元:(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社)
紗和と北野は同棲のような暮らしをはじめ、そのことで紗和の素性が周囲にばれます。レストランのオーナーは、自身も妻の不倫で家庭を失った経験から、紗和を激しくなじりますし、周囲の人々も紗和に冷たくなります。
しかもこの時点で北野は離婚していませんし、どこからどう見ても不倫です。
バレてしまうと腹が据わるのが女でしょうね。北野はというと、階段から落ちて車いす生活になっていた妻の生活のサポートをし始めます。もうバカなのか?!と突っ込みたくなりましたが、北野からすれば妻への罪滅ぼしだったのでしょうね。浅い、浅すぎる考えですが、自分としては紗和との将来しか見ていないので、それがどれだけ妻の心を掻き毟るかがわかっていません。
しかも、それを紗和に伝えていないため、紗和も誤解をし始めます。あげく、妻に直談判するという暴挙に出ます。30万払うのが先だと思うのですが…
そこで、妻・乃里子が車いすであることを知り、かつ、妻から離婚の同意をあっさりと得たことで有頂天になってしまう2人…
ここからしばらく、ふたりは新しい生活に向けて明るい日々を送るわけですが、人の気持ちを考えられないからなのか、妻・乃里子の驚くほどの変わり様が何を意味しているのか全く意に介していません。
それが、ラストの衝撃的な出来事を引き起こしてしまうわけです。
衝撃のラスト、あなたはどう捉えますか?
あえて詳しいネタバレはしないでおこうと思いますが、事実として北野は死にます。
しかし、その経緯は私からすれば北野自身が地雷踏みまくり、どうしてそれを言うんだ!!!というようなことの連続で、確かに妻も常軌を逸してはいたけれど、そうさせたのは北野自身の独りよがりの誠意にあると思えてなりません。
さらに、北野の死後、生きる気力を失った紗和は「神様はまた私を強くした」とつぶやくわけですが、そこに空恐ろしさを感じたのは私だけでしょうか?
(出典元:(C)2017 フジテレビジョン 東宝 FNS27社)
妻・乃里子は夫が死亡したことで永遠に夫が自分の夫のままでいるということを得ましたが、紗和は夫の「幻影」ともいうべきものを授かりました。
それは、紗和にこの先の人生を生きていくことを強いているので、死んで楽になるという選択肢はなくなってしまっています。それが、紗和のつぶやきを意味しているのだと思いますが、結末としては非常に複雑な印象を持つものとなりました。
妻の立場で見るか、紗和の立場で見るかでも全く変わりますが、こちらは実際にご覧になって感じてみてくださいね。
昼顔(ドラマ・映画)を視聴できる動画配信サービス
ドラマ版「昼顔」は、現在フジテレビオンデマンド(FOD)で独占一挙放送中です!他のサービスでは視聴できませんので、注意してくださいね。
まだFODをお試しでない場合は、
無料視聴期間を利用すればドラマ「昼顔」全11作を全て無料で楽しめます!毎日1話ずつ見ても十分ですよね。
もちろん、多くの方は一気見してしまうと思うのですが、それでも31日間試せるということで、懐かしのフジテレビドラマを嫌というほど堪能できますよ!
また、映画版「昼顔」は、FODのほかU-NEXTでもPPVにて視聴可能です。
U-NEXTの場合毎月ポイントが付与されるのでそれを利用して視聴可能ですし、FODでも8のつく日に付与されるポイントを利用することで1200ポイントがゲットできますので実質無料で視聴できます。
大人になった上戸彩さん、ご自身も結婚、出産を経験されて女優としての魅力も格段に増しています。
ぜひ、ドラマ「昼顔」を一気見して、映画版「昼顔」で衝撃のラストに悶絶してくださいね!