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【あらすじ・ネタバレ】見始めたらやめられないWOWOW版「空飛ぶタイヤ」


(出典元:Hulu)

2018年に長瀬智也主演で映画化された、池井戸潤原作「空飛ぶタイヤ」。皆さん劇場でご覧になりましたか?

この作品には、実はもう一つWOWOWが制作したドラマがあります。2009年に放送されたドラマで、全5話完結となっています。見始めたら途中で終われないとの声も多いこのドラマ。

今回はこのWOWOW版「空飛ぶタイヤ」をじっくりご紹介したいと思います。

ネタバレも含みますのでご注意ください。

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「空飛ぶタイヤ」とは?


(出典元 講談社)

まず、このタイトルについて。こちらは原作も同名ですが、中身を知る前だと「何の話??」と思いますよね。

池井戸潤さんといえば、「下町ロケット」などがありますので、私は当初車が空を飛ぶとか、そういうロマンあふれる話か?と思っていましたが、とんでもない、この作品は実際に起こった世間を揺るがす大事件をモデルとして描かれたもので、ゴリゴリの社会派ドラマなのです。

<予告>

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空飛ぶタイヤのモデルとなった事件について

この作品のモデルとなったのは、三菱自動車工業による長年にわたるリコール隠しと、そのリコール隠しによって引き起こされた横浜母子3人死傷事故です。三菱リコール隠しについて詳細はこちら

リコール隠しについてはご存知の方も多いでしょうが、その中で起きた死亡事故(もうひとつ、山口のトラック運転手死亡事故も)についてはあまりご存知ない方の方が多いかもしれませんね。

お子さんを連れて歩いていた母親に、走行中のバスのタイヤが外れ、そのまま直撃したという事故です。お子さんは助かりましたが、母親は死亡しました。その時のタイヤが外れた状況を、「空飛ぶタイヤ」と表現しているのですね。ドラマの冒頭では、この死亡事故が取り上げられています。

また、山口の熊毛ICにおいて、料金所を減速なしで通過したトラックが、そのまま制御不能となって壁に激突し、運転手が亡くなっています。

運転手さんは必死に料金所の人に「ブレーキがきかない」ことを叫んでいたとも言われ、もはやトラックを壁にぶつけて止まる以外に停止させる方法がなく、自身の命と引き換えにトラックを停車させたと思われます。

もしもそのまま走行を続けていたら、周囲の車などを巻き込んだ大惨事になっていたかもしれず、運転手さんのその決断を思うと非常に心が痛みますが、当初は運転手さんの過失として書類送検されていました。のちに、リコール隠しが発覚し、運転手さんの汚名は晴らされましたが、亡くなった命は戻りません。

「空飛ぶタイヤ」は、このような事件を基に書かれた作品で、登場人物や設定などもある程度似せてあります。

そのため、余計にノンフィクションを見ているように引き込まれてしまうわけです。

空飛ぶタイヤのあらすじと登場人物(キャスト)


(出典元:WOWOW)

運送会社を経営する赤松(仲村トオル)は、小さいながらも社員を抱え、信用第一でまじめに仕事に取り組んでいました。ある日、赤松運送の大型トレーラーのタイヤが外れ、歩道を歩いていた母子に直撃し、母親が死亡するという事故の一報が入ります。

事故の事情聴取でのっけから整備不良を指摘された赤松は、日々、整備や運行管理にはきちんと対応しているという自負があり、赤松と専務の宮代(大杉連)はどうにも腑に落ちません。しかし、トラック自体が業界最大手のホープ自動車であることでトラックの欠陥は問題視されず、逆に整備士・門田(柄本佑)が年齢的に若かったことや見た目のチャラさなどを指摘され、走行中のタイヤが外れる=整備不良以外にあり得ない、と言われてしまいます。


(出典元:WOWOW)

ホープ自動車は自社部品(ハブ)に落ち度はないと発表し、警察からの追求が止まなかったことで赤松運送は取引先を次々と失い、倒産の危機に陥りますが、なぜか赤松は逮捕されません。

その矢先、門田とともに整備を受け持っていた整備士が、克明に記された門田の整備日誌を発見します。そこには、警察が指摘していた脱輪事故以降、どこよりも厳しい目で点検を行っており、事故の前日もきっちりと点検していたことが記されていたのです。

警察でも、整備に問題はないとうすうす気づいていたようで、そのために赤松は逮捕されていなかったのでした。

社員を信じた赤松は、ホープ自動車に直談判に赴きますが、けんもほろろに跳ね返されてしまいます。


(出典元:WOWOW)

一方、週刊誌の記者である榎本(水野美紀)は、過去のホープ自動車における粉飾決算後の体制改善がなされているのかどうかを、ホープ自動車の狩野常務(國村隼)の姪と婚約している友人・ホープ銀行勤務の井崎(萩原聖人)から情報を得ようとします。その過程で、赤松運送と同じトラックで同じ事故を起こしていた会社に行き当たります。


(出典元:WOWOW)

ホープ自動車販売部の沢田(田辺誠一)と小牧(袴田吉彦)は、当初は大きな問題と思っていなかったものの、整備不良で片付いたはずの事故を、なぜか品質保証部の課長が気にしていることに違和感を覚えます。

それぞれが、それぞれの立場で、真実を探りはじめますが、それを阻むホープグループの圧力にことごとく道を阻まれ・・・

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ネタバレあり!空飛ぶタイヤの見どころと感想

ここからはネタバレも含みます。

第一話目から善悪がきっちり判明


(出典元:WOWOW)

通常、犯人が誰かわからない、先が読めないストーリーの方がのめり込みます。

しかし、「空飛ぶタイヤ」は、第一話目というより最初から誰が悪で、誰が善なのかがはっきり示されます。

実はタイヤが外れた事象は、整備不良ではなく、ホープ自動車の品質保証部が勝手に緊急性が低いことにして、社内で隠蔽した、いわゆるリコール隠しを行った結果、起こった惨事だったのです。

この作品は、結果は見えているけれど、どうやってそこにたどり着くのか、たどり着く過程に待ち受ける山のように高い壁をどう打ち崩すのか、そこに全ての魅力が詰まっています。

そのため、少しずつ事実が明らかになっていく過程に「イライラする!」と思う人もいるようですが、そのイライラは第5話でこれでもかというくらいスッキリします(笑)。

サラリーマンと中小企業の苦しみ


(出典元:WOWOW)

社会における強者と弱者、ということで見ると、立場は違えどどこにでも存在する構図があることに気づきます。

ホープ自動車の沢田は、リコール隠しは間違いないと踏んでいるにもかかわらず、自身の出世や夢を捨てることは出来ず、それを見透かされて大量の飴を与えられ、会社のために動きます。

ホープ銀行の井崎も、自分が要職に就けたのは、恋人がホープ自動車常務の姪であるからだと思っていましたが、実はそれ以上の政略があったことに気づき、愕然とします。

赤松運送社長の赤松は、自分を信じてくれる社員を守り切れないことや、大企業からの圧力のすさまじさにくじけそうになります。

雑誌記者の榎本も、自身が書いた記事が「市場の原理」によっていとも簡単に潰されてしまい、内部告発を行おうとしたホープ自動車の社員は黙らざるを得ません。

大企業VS中小企業という形ではあるものの、同じような中小企業が味方に付いてくれるとは限りません。

ホープ自動車常務・狩野は、「市場の原理」という言葉が大好きです。市場の原理とは、要するに需要と供給、そしてそれらは常に強者が選択権を持っている、ぶっちゃけて言えば金に物言わせれば白いものも黒になるということです。

赤松は同じような運送会社にも理解を得られず、時には罵倒されて心が折れそうになるのです。しかし、失うものの大きさでいうと、大企業の方が大きいわけで、そこが結果として怒涛のラストへと展開していくことになるのです。

銀行員・井崎にみる「サラリーマンの在り方」


(出典元:WOWOW)

事件とは直接関係ありませんが、ホープグループのひとつであるホープ銀行に勤務する井崎(萩原聖人)の苦悩は非常に見ごたえがあるというか、勉強になります。

本人も、この出世は自分の恋人が常務の姪であることが関係しているとわかっています。しかし、恋人への気持ちは嘘ではないため、その狭間で苦しむことになります。

飼い犬である自分が本来すべき仕事は、ホープ自動車に有利な融資を実行すること。しかし、銀行マンとしてはやってはいけない事でした。
わかっているのに、いえ、わかっていたからこそ、井崎は自分に求められている「仕事」をしませんでした。

それは銀行マンとしての意地と本人は言いましたが、おそらく違っていて、本当のところは「男のメンツ」の問題だったように思います。自分のやり方で、自分の力で認めさせたい・・・

にもかかわらず、なんとかなるわよと言った婚約者・香(ミムラ)に対して、「お前は会社ってもんをなんにもわかってない!!!」というのです。ならなんで反抗しちゃったんだよ・・・・

やらかした後で気がつく、というより再確認することはあります。夢や希望、正しいことや理想だけでは渡っていけない、でも、その波にのまれてしまうともう後戻りできなくなる…

結果として、井崎はどのような解決を見るのでしょうか?香との行方にも注目です。

仲村トオルという素晴らしき俳優


(出典元:WOWOW)

WOWOWのドラマは、この「空飛ぶタイヤ」に限らず非常に優れた俳優が出演することでも知られます。

空飛ぶタイヤでも、大杉連、戸田菜穂、遠藤憲一、西岡徳間、尾野真千子など、主役級の役者が脇を固めます。

事実を基にした社会派ドラマですから、演じる側も力のある俳優でないと務まらないとも言えますが、その中でも仲村トオルという役者は素晴らしかった。

第4話の終盤、決定的な証拠をホープ自動車の責任者や弁護士に突き付けるシーンは圧巻で、このシーンでそれまでのもどかしさも吹っ飛びます。

映画版では同じ役を長瀬智也が演じますが、長瀬君ではちょっと重厚さに欠けはしないだろうかと言ったらファンの皆さんに怒られるかもしれませんが、それほどまでに仲村トオルとこの役どころがハマっているのです。

映画をご覧になった方で、ドラマ版を見ていない方は是非、その違いを比べてみてくださいね。

内部告発者の正しい姿


(出典元:WOWOW)

昨今、あらゆるケースにおいて内部告発がなされていますね。

しかし、多くは匿名であり、極端に言うと「本当なのかどうかの確証がとれない」というケースもゼロではありません。中には、自身の売名や保身といった、あたかも正義を行っていると見せかけたものもあります。

この「空飛ぶタイヤ」では、あらゆる立場の人がさまざまな思いで内部告発を試みます。

中には、自身の手で告発することが出来ず、それを託す形で行った人も。

普通はいわゆる「蜂の一刺し」と呼ばれる内部告発形式が多いですが、「空飛ぶタイヤ」ではいくつもの内部告発が重なって真実にたどり着く、というストーリーになっており、これが作品に重厚感を与えたのではないかと思います。

決定的な内部告発を行ったのは沢田ですが、その際彼は、他の内部告発者を守るための行動をします。
この作品では、変な言い方ですが「お手本のような内部告発」が随所に見られます。

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タイトルからはなかなか想像できない重い内容のドラマであり、WOWOWでの放映であったため存在自体を知らない人も多いようです。

実在の企業が起こした事件が元であるため、地上波での映像化は難しいとも言われていました。WOWOWはスポンサーからお金が出ていないため、自由度の高い作品が制作されています。

その中でも、「空飛ぶタイヤ」は群を抜いて良質な作品でした。俳優陣の素晴らしさ、原作の素晴らしさ、見て損はないドラマです。

映画が公開されたこともあり、動画配信でも多くのサービスで取り扱いがあります。まだご覧になってない方も、過去にご覧になった方も、是非ご覧になってくださいね。

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